親子で知りたい!ファッションデザイナーってどんな仕事?なり方は?

「将来は洋服をデザインしたい!」とファッションデザイナーに憧れを抱くお子さまも少なくありません。
しかし、ファッションデザイナーになるには、どのような勉強をしておけばいいのか疑問に思われる保護者の方も多いのではないでしょうか。
ファッションデザイナーへの道のりは想像以上に多様で、小学生のうちからできる準備もたくさんあります。
この記事では、お子さまがファッションデザイナーになるために知っておきたい具体的な道筋から、今すぐ始められる能力の伸ばし方まで、親子で取り組める実践的な情報をお届けします。
ファッションデザイナーとは?
ファッションデザイナーについて、まずは基本的な内容から見ていきましょう。
多くの方がイメージする華やかな世界の裏側には、実は様々な専門知識と技術が必要とされています。
ファッションデザイナーってどんな仕事?
ファッションデザイナーは、自分のアイデアから洋服のデザインを考え出し、新しいファッションを生み出す仕事です。
流行やトレンドを研究し、着る人のライフスタイルや体型、季節に合わせたデザインをします。
具体的な仕事内容には、デザインの企画・提案、スケッチやパターンの作成、素材選び、サンプル制作の指示、ファッションショーの企画などがあります。
また、ブランドの方向性を決めたり、販売戦略に関わったりすることもあります。
デザインが完成するまでには、何度も試作を重ね、細部まで調整を行う根気強さも求められる職業です。
現代では、デジタル技術も活用しながらデザインを行うことも多く、従来の手描きスケッチに加えて、コンピューターを使ったデザイン技術も求められるようです。
スタイリストなどとの違いは?
ファッション業界には、ファッションデザイナー以外にも様々な専門職があります。その中でも混同されやすいのがスタイリストです。
スタイリストは、既存の洋服やアクセサリーを組み合わせて、モデルや俳優などのコーディネートを考える仕事です。
一方、ファッションデザイナーは洋服そのものをゼロから創り出します。
スタイリストが「着こなし方のプロ」だとすれば、ファッションデザイナーは「洋服を創るプロ」と言えるでしょう。
また、ファッション業界にはパタンナーという重要な職業もあります。
パタンナーは、デザイナーが描いたデザイン画をもとに、実際に洋服を作るための型紙(パターン)を制作する専門職です。
デザイナーのアイデアを現実の洋服にするために欠かせない存在で、正確な技術力と立体的な思考力が求められます。
ファッションデザイナーになるには?どんな勉強が必要?
ファッションデザイナーになるためには、いくつかのルートがあり、それぞれに特徴があります。具体的な進路について詳しく見ていきましょう。
服飾系の専門学校で学ぶ!
ファッションデザイナーを目指す最も一般的なルートは、服飾系の専門学校への進学です。専門学校では、2〜3年間で集中的にファッションデザインの基礎から応用まで学びます。
専門学校のカリキュラムには、デザイン画の描き方、色彩学、素材に関する知識、パターン作成、縫製技術、ファッション史などが含まれています。
実際に手を動かして洋服を作る実習も豊富で、卒業時には即戦力として活躍できる技術を身につけられます。
専門学校卒業後は、多くの学生がアパレル企業に就職します。
新卒の場合は、OEM・ODM(他社ブランドの洋服の製造やデザインから製造までを請け負う企業)やアパレルメーカー(洋服の企画・製造・販売を行う企業)に就職する事が多く、ファッションデザイナーアシスタントからスタートして実践的な経験を積んでいきます。
服飾系の大学や短大で学ぶ!
大学や短期大学の服飾系学科でも、ファッションデザインを学べます。
大学では、デザイン画の描き方や縫製技術など専門学校で学ぶ内容に加えて、幅広い教養科目も学びながら、ファッションデザインの専門知識を深められます。
大学での学びの特徴は、デザインの技術だけでなく、ファッション業界のビジネス面や国際的な視点、文化的背景なども学べることです。
マーケティングや経営学の知識も身につけられるため、将来自分のブランドを立ち上げたい場合には特に有効です。
短期大学では、2年間で効率的に基礎技術を学べ、早期に現場に出たい方に適しています。大学・短大ともに、ファッションの歴史や理論なども深く学ぶことで、より深い理解につながります。
デザイナーに役立つ資格とは?
ファッションデザイナーになるために必須の国家資格はありません。
しかし、技術力や知識を証明する様々な資格があります。これらの資格を取得すると、就職活動や転職時に有利になる場合があります。
たとえば、ファッションデザイナー認定試験は、日本デザインプランナー協会が主催する資格で、ファッションの名称や形、機能面やデザイン等の知識を持つ人に与えられる資格です。
デザインに関する基礎知識から、ファッションアイテムの名称や特徴、素材についての知識が幅広く問われ、在宅で受験できるのが特徴です。
その他の主な資格には、服飾士、色彩検定、パターンメイキング技術検定、洋裁技術認定試験などがあります。
専門学校や大学では、在学中にこれらの資格取得をサポートするカリキュラムが組まれている学校もあり、洋裁技術認定試験やパターンメイキング技術検定、ファッション色彩能力検定などは、在学中に取得を目指すことが可能です。
また、専門学校卒業時には「専門士(服飾専門課程)」の称号が授与されます。
ファッションデザイナーに向いている人とは?
みらいいでは、2024年に280名の方に協力いただき、職業についてのアンケートを実施いたしました。
アンケート結果は、実際にその職業に就いている方、5年以内にその職業に就いていた方が答えてくれました!
ファッションデザイナーが考えるファッションデザイナーに向いている人はどのような人でしょうか。
必要な能力と小学生のうちから伸ばしておきたいポイントも見ていきましょう。
ファッションデザイナーに向いているのは発想力、好奇心がある人
ファッションデザイナーに最も必要なのは、新しいものへの好奇心と豊かな発想力、デザインを追い求める探究心です。
ファッション業界は常に変化し続けており、これまでにないデザインや新しいスタイルを生み出すことが求められるからです。
好奇心旺盛な人は、街で見かけた色の組み合わせや、異文化の民族衣装、自然の中の美しい形など、あらゆるものからインスピレーションを得ることができます。
また「なぜこの服は人気なのだろう?」「どうすればもっと着心地が良くなるだろう?」といった疑問を持ち続けることで、独創的なアイデアが生まれます。
小学生のうちから好奇心と発想力を伸ばすには、まず「なぜ?」「どうして?」という疑問を大切にすることです。
また、図工や美術の時間に自由な発想で作品を作ったり、身の回りのものを観察して新しい使い方を考えたりするのも効果的です。
子どものうちから体験!ワークショップなどへの参加もおすすめ
ファッションデザインへの興味を深めるために、子ども向けのデザイン系ワークショップに参加することもおすすめです。
実際に布に触れたり、色を組み合わせたり、簡単な洋服作りを体験することで、ファッションデザインの楽しさを実感できます。
体験を通じて、お子さまが本当にファッションデザインに興味があるのか、どのような分野に特に関心を持つのかを知ることができます。
また、同じ興味を持つ仲間との出会いも、将来への大きな励みになるでしょう。
直接体験がお子さまにどのような影響を与えるかをまとめたみらいいの記事はこちらです。
直接体験で生きる力を身につけよう!体験が大切な理由とおすすめの体験を詳しく解説!
ファッションデザイナーになるとどんなキャリアが築ける?
ファッションデザイナーとしてのキャリアには、様々なものがあります。
日本は、国際的に活躍する優秀なデザイナーを数多く生み出している国です。
理由として、教育環境や技術的な基盤が整っていたり、日本人独自の美的感覚を大切にしていたりすることなどが考えられます。
そのため、お子さまが将来、世界を舞台に活躍する可能性も十分にあります。
企業デザイナーとして活躍
多くのファッションデザイナーは、アパレル企業やファッションブランドに就職してキャリアをスタートします。
最初はアシスタントデザイナーやパタンナーとして経験を積み、徐々に責任のあるポジションへとステップアップしていきます。
企業デザイナーの魅力は、安定した環境の中で技術を磨きながら、チームワークを活かして大きなプロジェクトに携われることです。
企業の力を活用して、個人では難しい大規模な企画やコレクションの制作にも参加できます。
有名ブランドで働くことができれば、世界中の人々に自分のデザインを届けられるかもしれません。
自分のブランドを立ち上げSNSでの発信やECサイトを利用して独立
近年、SNSやECサイト(Web上で商品を販売するホームページのこと)の普及により、個人でブランドを立ち上げるハードルが大きく下がりました。
SNSを活用してブランドの世界観を発信し、オンラインショップで直接消費者に商品を販売するデザイナーが増えています。
このルートの魅力は、自分の理想とするデザインを妥協せず表現できる点です。
小さなブランドからスタートして、徐々にファンを増やしていく過程は、大変ながらもやりがいに満ちています。
デジタルマーケティングの知識や、顧客とのコミュニケーション能力も重要になってきます。
成功すれば、世界中のお客様に自分のデザインを届けられるので、国境を越えたビジネス展開も夢ではありません。
コンクールなどに出品して国際的なキャリアも
実力があれば、国際的なファッションコンテストに出品して、海外を舞台に活躍できるかもしれません。
パリ、ミラノ、ニューヨークなどのファッションウィークで注目されれば、一気に世界的なデザイナーへの道が開けます。
国際コンテストでの受賞は、海外のファッションハウスからのスカウトや、有名ブランドとのコラボレーションの機会につながることも。
日本人デザイナーは、繊細な技術力と独特の美的センスで世界的に高く評価されており、国際的なキャリアを築く素地は十分にあります。
このような道を目指す場合は、早い段階から語学力を身につけておくことも重要です。
舞台・映画・芸能衣装デザイン
ファッションデザインのスキルは、エンターテイメント業界でも大いに活かされます。
舞台衣装、映画のコスチューム、テレビ番組の衣装など、コスチュームデザイナーとしてメディアで活躍する道もあります。
この道では、キャラクターの個性や作品の世界観を衣装で表現する特殊な技術が求められます。
歴史考証が必要な時代劇から、未来的なSF作品まで、幅広い知識と想像力が必要です。
有名な作品に関わると、多くの人に自分のデザインを見てもらえる喜びがあります。
近年では、アニメやゲームのキャラクターデザインなど、新しい分野での需要も拡大しており、キャリアの可能性はさらに広がっています。
バイヤーに転身
ファッションデザイナーとしての経験と目利き力を活かして、企業バイヤーとしてファッションアイテムの買い付けという仕事への転職も可能です。
バイヤーは、世界各地のブランドや工房を訪れ、自社で販売する商品を選定・購入する専門職です。
デザイナーとしての経験があると、商品の品質やトレンド性を的確に判断できる能力も身につけられるため、優秀なバイヤーとして活躍できるでしょう。
また、海外出張が多く、グローバルな環境で働ける魅力もあります。
ファッションデザイナーの仕事をもっと知りたい!書籍紹介
ファッションデザイナーという職業についてより深く理解するために、お子さまと一緒に読める書籍をご紹介します。
これらの本を通じて、デザインの世界への理解を深めていきましょう。
「なりたい!知ろう!デザイナーの仕事2 快適なくらしをつくるデザイナー」
この本では、ファッションデザイナーを含む様々なデザイナーの仕事について、分かりやすく解説されています。
デザイナーがどのような思いで仕事に取り組んでいるのか、どのような過程を経てデザインが完成するのかを知ることができます。
実際のデザイナーのインタビューも掲載されており、リアルな声を知れる貴重な一冊です。
「なりたい!知ろう!デザイナーの仕事2 快適なくらしをつくるデザイナー」
「ふくはなにからできてるの?(福音館の科学シリーズ)」
洋服がどのような材料から、どのような工程を経て作られているのかを科学的に解説した本です。
綿花から糸が作られ、糸から布が織られ、最終的に洋服になるまでの過程を、美しいイラストとともに学べます。
ファッションデザイナーを目指すお子さまにとって、素材への理解を深める良いきっかけになるでしょう。
「ふくはなにからできてるの?(福音館の科学シリーズ)」
「学校では教えてくれない大切なこと 41 デザインのすごい力」
デザインが私たちの生活にどのような影響を与えているのか、デザインの力について学べる本です。
ファッションデザインに限らず、様々なデザインの考え方や基本原則について分かりやすく説明されています。
デザイナーとしての基礎的な考え方を身につけるのに最適です。
「学校では教えてくれない大切なこと 41 デザインのすごい力」
「はじめてのファッションスケッチ 多彩なスタイルを学び、ボディポジティブに描く」
ファッションデザイナーにとって重要なスケッチ技術について学べる実践的な本です。様々な体型や年齢の人をバランス良く描く方法や、洋服のシルエットを効果的に表現するコツが詳しく解説されています。実際に手を動かしながら学べるため、デザインスキルの向上に直接つながります。
「はじめてのファッションスケッチ 多彩なスタイルを学び、ボディポジティブに描く」
夢がお子さまの創造性や好奇心を育む
ファッションデザイナーについて詳しく見てきましたが、服を作ることだけがこの仕事の魅力ではありません。
人々の日常を豊かにし、自信を与え、新しい文化を創造していく、社会への大きな影響力を持った仕事なのです。
自分の美的センスやこだわりを形にする仕事
ファッションデザイナーは、自分の美的センスやこだわりを具体的な形にして、多くの人に届けられる仕事です。
頭の中に浮かんだアイデアが、実際の洋服となって人々に愛用される瞬間は、何にも代えがたい喜びがあります。
ファッションデザイナーとしての経験は、多様なキャリアに結びつく可能性を秘めています。
デザイン思考、美的感覚、創造力、問題解決能力など、仕事を通して培われるスキルは、様々な分野で応用できる普遍的な能力でもあります。
お子さまの「素敵な洋服を作りたい」という純粋な想いや自由なデザインの発想を大切にしながら、一緒に夢を育ててみてくださいね。
創造性は非認知能力の1つとして挙げられます。非認知能力に関する記事はこちら!
非認知能力は子どもの将来に役立つ力!家庭でできる育み方もご紹介!
子どもの非認知能力を伸ばすお勧めの習い事とは?ポイントもご紹介!